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最低限知っておいてほしい陣痛開始から入院までのこと

2022.09.01

いよいよ臨月も間近に迫ると、お産についての疑問や不安が頭に浮かんできますよね。陣痛ってどういうもの?破水っていつ起きるの?入院の時の注意点は?
今回は、お産の始まりから入院後の注意点の中でも「これだけは知っておいてほしい」ことを解説します。

「陣痛開始」が出産の始まりです

お産とは出産のことですが、「陣痛の始まりが出産の開始」と決められています。そして、陣痛とは「10分以内に規則的に繰り返す子宮収縮」であり、これを本陣痛と呼んでいます。
本陣痛の前に、「痛いけど不規則だったり強弱があったりする」陣痛のような子宮収縮が起きてくるのですが、これは前駆陣痛または偽陣痛と呼ばれるもので、まだ分娩開始の合図ではありません。つまり、まだ病院を受診しなくてもいい段階です。
なお、おしるし(出血混じりの粘稠なおりもの)も本陣痛とは無関係です。

陣痛がいつ来るのかは神様しかわからない

医学的に、正期産と呼ばれる「正常な出産時期」は妊娠37週0日〜妊娠41週6日までで、予定日とは40週0日を意味します。妊娠37週0日を超えていれば、赤ちゃんの皮膚や臓器は十分に成熟していますので、いつ産まれても問題ありません。ただ、陣痛が来るのは予定日ちょうどとは限らないため、「陣痛がいつ来るか」は医師でも予測が困難なのが実際のところです。日本の過去のデータをみると、妊娠37週以降での出産のうち、妊娠37〜38週台での出産が43%、妊娠39〜40週台が49%、41週以降が8%程度で、ばらついていることがわかります。準備をしっかりしておいて、焦らずに陣痛が来るのを待ちましょう。

陣痛で見逃さないでほしい2つのサイン

(1) 規則的ではなく「持続的な強い痛み」は要注意!
陣痛とは異なり、持続的で強い痛みや多量の性器出血は危険なサインである場合があります。最も怖いのは胎盤早期剥離といって、胎盤が先に子宮内で剥がれてしまう状態です。これは母子ともに命の危険を伴うほどの救急疾患です。持続的で強い痛みや多量の性器出血があれば、すぐに病院へ連絡しましょう。

(2) 陣痛開始前に破水かなと感じたら必ず病院へ連絡を!
通常、陣痛開始後に起こる破水ですが、陣痛開始前に起きてしまうと注意が必要です。前期破水と呼ばれ、子宮内への細菌感染や、へその緒が先に出てきてしまうケースがありますので、破水を疑うサインがあったら必ず病院へ連絡しましょう。

今回は、いよいよ出産が間近にせまってきた皆さまへ、陣痛から入院までの流れについて詳しく書きました。ご自身で理解しておくのはもちろん、パートナーにもきちんと理解してもらい、いざというときに焦らず対応できるよう、準備しておきましょうね。

参考文献
周産期委員会報告資料. (日本産科婦人科学会)

(産婦人科医 重見大介)